KORAN VOICE
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学生と一緒に先生も成長する学びのキャンパス
音楽好きの父の影響で小さい時から音楽が好きで、3歳半の時にピアノを習い始めました。東京の音楽大学に進んで、それまではCDや雑誌でしか見られなかったような著名な作曲家や演奏家の先生がずらーっと学校にいらして、とても刺激的でした。東京には世界中から演奏家が来るので、クラシックの演奏会やコンサートにもよく通っていましたね。
大学を卒業して福岡に戻り、音楽教室と自宅でピアノを教えていたときに、知人から香蘭の附属幼稚園で子どもたちに合奏やリトミックを教える人を探していると聞いて手を挙げました。そのあと短大からも声がかかって非常勤講師をしていたら、専任の話をいただいたんです。元々集団の前で話しをするのは苦手だったし、どっぷり学校の先生をやるのは向いていないと感じて断ろうと思っていましたが、いろんな人に相談したら、全員に「やったほうがいい」とアドバイスされたので、不安でしたがやってみることにしました。
専任になったらそれまでの生活とあまりに違いすぎて、最初の3カ月くらいは毎日帰りの車の中で泣いていたし、実は1年で辞めようと決意していたんです。それでも、何もできない自分に対して、学生たちが研究室に「先生!」って相談や質問をしに来てくれて、だんだん学生たちをかわいいなと思い始めて。このまま辞めたら学生に申し訳ないし、何かやってから結論を出そうと思って保育の勉強を始めたりしていたら、もう18年です(笑)。
あの時の学生たちがいたから今があると思いますし、いろいろ教えてくれたのもあの子たち。今でもずっと連絡を取り合っていて、自分の子どもを連れて遊びに来てくれたりしますよ。そういうことが嬉しくて、やりがいを感じますね。
ピアノを学ぶ覚悟を決めよう。大丈夫、全力で支援します
保育学科でピアノを教えている今は、学生にとってマラソンの伴走者でいたいと思っています。
ピアノの初心者でも入学できますが、覚悟が必要です。ピアノが上手いか下手かではなく、子どもの心を豊かに育てる上で音楽の役割がとても大きいから、園が保育者に求める最低限の基礎力をつけるには、初心者なら毎日2時間は練習しないとそこには到達しない。それくらい時間がかかるよって、オープンキャンパスでもはっきり言います。
いつでも練習できるようにピアノ練習室を開放しているので、早めに登校して授業開始前の朝1時間、放課後1時間でもいい。やり方はいろいろあるけど、とにかく保育者になりたいなら、2年間で基礎力をしっかりつけないといけない。私も夜の7時8時まで練習に付き合うこともありますし、いくらでもバックアップするから、そういう覚悟を持ってきて欲しいと思います。
“鬼の黒木”の目にも涙!学生の努力の成果に思わずウルウル
ピアノの初心者は年々増えていて、最近は本学の新入生の約7割が初心者です。“保育者になるには人間性が大事。技術は入学してから努力すればいい”というのが香蘭保育学科の特徴です。
ドレミが読めない学生もたくさんいるので、授業はそこからです。
ピアノは面白いといかに思わせるか、「練習しなさい」と言うのではなく学生から「もっと練習したい」と思わせるレッスンを心がけています。
中には、「もう楽譜を破りたい」なんてべそをかく人もいますが、遅くまで残って練習を頑張っていた学生の姿は、2年の後期、最後の実技試験の時に思い出すんですよ。1年の時には音も読めず、指も動かなくて泣き顔だった学生が、歌いながら気持ちよさそうに弾いてると、試験の点数をつけながら毎回感動してウルウルします。並々ならぬ時間を犠牲にして、見えないところでも一生懸命やった成果ですからね。
頑張ったら頑張った分だけ裏切らずに成長する。それはピアノだけじゃなく全部につながると思うんです。卒業後に「仕事がきつくて辞めようと思ったけど、ピアノであれだけ頑張れたからやれるかなって思った」と言ってくれた子もいました。“鬼の黒木”でレッスンは厳しいと思いますが、乗り越えた経験はその先に大きく影響すると思います。
【ピアノ初心者でも大丈夫!弾けるように私が全力で支援します! Vol.2を見る】
保育学科 教授
黒木 知美
◎担当科目
「音楽Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」「音楽表現研究」「保育内容Ⅴ 表現」
◎プロフィール
宮崎県生まれ、福岡県育ち。小学5年の時にコンクールで受賞しピアノの先生を志す。中学ではブラスバンド部でフルートを担当。香蘭の附属幼稚園で音楽を教え始めたことをきっかけに、短大の非常勤講師から専任に。大学時代からミュージカルと歌舞伎に熱中し、東京や大阪にも日帰りで観劇に行く。