香蘭女子短期大学

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食物栄養学科

【密着授業取材】見て聞いて考えて、実践して鍛える“真の料理力”【Vol.2】

おいしく作れる料理の法則、教えます

 青木先生が授業で大事にしていることは、学生に料理を好きになってもらうこと。そのために、学生の好奇心を刺激する「この割合や手順で作ったらどんな料理もおいしくなる」といった“料理の法則”も楽しく教えます。
パスタのソース作りでは「今日はクリームソースだけど、前回のトマトソースのパスタとほとんど同じです。西洋料理のソースを作るときの順番がわかったら何でも作れます」と説明を始め、ホワイトボードに「肉→野菜→酒→牛乳やだし汁などの液体」と順番を書きました。「まず肉を焼いて、そのうまみを野菜でこそげとって、次にお酒を入れて、アルコールが飛んだら最後にだし汁など液体を入れます。だしより先にお酒をいれるのはアルコールを飛ばすからですよ。先に出汁をいれるとアルコールが飛ばないからね」。
先生は授業で心がけていることについて「和食でも調味の法則、西洋料理でもソースの作り方の法則があるので、それを説明しています。そこから材料を変えたら、自分で応用できますから」と話してくれました。
オリーブ油やハーブについて、種類やそれぞれの使い方、どんな料理に合うのかなどをポイントを押さえながら解説する場面もありました。

科学的根拠に基づき、調理を理論的に学べる授業

 食物栄養学科が育成を掲げる一つに「調理に強い栄養士」があります。
 青木先生は管理栄養士であり、調理師専門学校でも学び調理師の肩書も持つ“調理”のエキスパートです。
フライパンでイサキを焼き始めると、ホワイトボードに書いた魚の筋肉の構造の絵をつかって、詳しく説明をはじめました。「皮目から焼いて、40~50℃になると最初に筋原線維タンパク質という線維部分に火が通ります。熱変性すると、たんぱく質同士がくっついて、その間に入っている水が抜けるので、水分がいっぱい出てきます。さらに温度が上がって50~60℃くらいになると、細胞内や血の中に入っている筋形質たんぱく質が固まり始めます。50℃の状態だと肉が崩れやすいけど、細胞内のたんぱく質が固まり始めるとしっかりと形を保てる状態になってきます。だから固まる途中の50度付近で魚をひっくり返すと、ぐちゃっと崩れますからね。気を付けましょう」と専門用語を交えながら調理の科学的根拠を解説します。
一方で、おいしく焼くコツも伝授。「魚は鮮度がいいと焼いたときにすごく縮まります。フライパンに入れたら身が反ってくるので、フライ返しで押さえておかないと皮目が生っぽくなりますよ。ふたをすると蒸気で全体が蒸し焼きになってふわっと焼きあがるから、ふたをして上まで蒸気で火を通します」。料理の腕と知識をブラッシュアップする、青木先生ならではの指導法です。

ここから羽ばたけ!食のスペシャリスト

 調理が終盤になると、教室中がいい香りに包まれます。学生たちは「食べたい」「おなかがすいた~」と食欲を刺激されていました。
先生のお手本が終わると、今度は学生たちの実習が始まります。教室から実習を行う調理室に移動した学生の1人は「西洋料理について深く知ることができてよかったです。これから頑張ります!」とやる気に燃えていました。
毎回当番制で2人の学生が先生のアシスタントを務めます。先生の動きを間近で見ながら、先生が効率よく作業ができるよう手伝う役割で、今回アシスタントを務めた学生は「先生の手元が近くで見られるので勉強になります。アシスタント中は洗いものがたまったら洗い物をして、次に何をするのか考えながらやっています」ときびきびと動いていました。
 調理の技術はもちろん、食材や栄養など“食”にまつわる幅広い知識を身に付け、おいしく栄養満点の料理が作れる腕を磨く。“食のスペシャリスト”を目指す人には、おすすめの授業です。

食物栄養学科 講師
青木 友紀子先生

担当科目は「基礎調理学実習」「実用調理学実習」「応用調理学実習」。
奈良県出身。大学は食物栄養学科で学び、卒業後、調理師専門学校に進学。調理師専門学校に14年間勤務した後、病院に勤務。フランス料理とお菓子が得意。
管理栄養士・調理師

【密着授業取材】見て聞いて考えて、実践して鍛える“真の料理力”【Vol.2】