KORAN VOICE
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アトリエ?いえいえ、ドレス製作の授業です
「ダダダダダダ…」とミシンの音が響き、洋裁用のボディーが雑然と並ぶ室内。作業台に広げた布地とそれぞれ向き合う学生たちの目は真剣そのもの。「ドレス製作」の授業が行われている教室は、大学の授業風景というより、ドレスづくりの“アトリエ”といった雰囲気です。
一般的な授業のように先生が教室に入ってきてから始まるのではなく、学生たちは開始時刻の前からすでに作業を始めていて製作に没頭しています。現在、この授業を履修しているのは2年生の4人。1人で黙々と製作に取り組む人、クラスメート同士で向かい合って座り、意見を言い合いながら作業を進める人たち・・・。斉藤先生はそれぞれの作業台を見て回り、声をかけて進捗状況を確認しながら、縫製や裁断の仕方などを指導します。
青色のドレスをミシンで縫い進める学生の作業をチェックした斉藤先生は、オーガンジーの生地を手に取りながら「切り刻むより美しさをそのまま残したほうがよくない?」「こっちだけギャザー寄せる?」とデザインを提案。学生の希望を聞きながら相談に乗り、細かくアドバイスをします。
作業台を回りながら気が付いたことや注意事項は、黒板に書きながら説明し、全員に共有します。
手間がかかるドレスづくりを基礎から実践的に学びます
この授業では、ハレの日に装うドレスを製作します。オリジナルのフォーマルドレスやセミフォーマルドレスのデザインを考えてパターンを作成し、ドレスに使用する素材について理解しながら、その素材を生かしたデザインや縫製方法を考えるスキルを身に付けます。
作業の工程は、まずパターンを作り、仮縫いのシーチングを組み立てて一度試着。そこでパターンを修正して裁断用のパターンを作り、ドレス生地を裁断し、組み立ててまた試着…という流れで進めていきます。斉藤先生は「素材が変わると厚みも変わるし、同じパターンではうまくいかないので、試着をして、そこからミシンで縫っていきます。薄い生地だと縫い方が普通とは違って、ものすごく手間がかかるんですよ」とドレスならではの難しさを解説してくれました。繊細な生地を扱うことが多いため、集中力や真剣に取り組む姿勢が必要です。「土台にも使う光沢のある素材は、まっすぐ縫うところを少し曲がっただけで表に響いてしまいます。だから縫い直しがあったり、普通の生地で作るのとは手間のかかりようが全然違うんです」。
授業以外でも作業が必須…でも作ってよかった!
授業は全15回ですが、授業時間外での作業が必須です。「簡単にひけるパターンを考えて渡したりはしますが、みんなどうしても自分の作りたいデザインがあるから、そこから始めるので授業だけではとても完成しないです」と斉藤先生。学生たちは皆、授業前後の時間や空き時間を使ったり、ときには自宅に持ち帰って仕上げます。「でも出来上がりが楽しみだから、みんな授業時間外も頑張れるし、最終的には“作ってよかった”って言いますね」。授業の内容は実践的でクリエイティブ。スキルと知識を習得しながら、自分が考えたオリジナルのドレスを仕上げていきます。「作ってよかった」の言葉は、多くを学び、中身の濃い時間を過ごせた証拠です。
ファッション総合学科 准教授
斉藤 朋子先生
担当科目はドレス製作、西洋服装史、アパレルCAD、デジタルパターン。
休みの日など時間があるときは趣味のフルートを演奏している。