香蘭女子短期大学

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食物栄養学科

「社会で求められている」栄養士という仕事、そしてSDGsの取り組み【Vol.2】

栄養指導のできる栄養士になってほしい。

私は「公衆栄養学」と「栄養指導論」を教えています。「公衆栄養学」については、先程説明した通りです。栄養指導というのは、イメージがないかもしれませんが、栄養士のもっとも大切な仕事のひとつなんです。実際に、栄養士法の第一条に、栄養士とは「栄養の指導に従事することを業とする者」と書かれています。もちろん、給食の献立や調理などいろいろな仕事がありますが、やっぱり病気の予防や治療のために食事指導をするというのが栄養士の仕事。ただ、栄養指導というのは全教科の集大成になりますから、食品や人体、そして文化などさまざまなことを学んでいかないといけません。

大変な一面もありますが、ぜひ食物栄養学科で学ぶ教科のことを理解して、栄養指導のできる栄養士になってほしいですね。

居場所をつくる「子ども食堂」の取り組み。

2022年から学生が立ち上げた「子ども食堂」の支援をしています。「子ども食堂」とは、子どもたちに居場所をつくる活動です。はじまりは、東京の八百屋の店主が、自ら経営している八百屋の一角に、子どもたちが食事をできるスペースを提供したことがきっかけとなっています。いまでは各地に広がっている活動なんですが、私も以前から興味があったので学生たちとはじめたんです。目的は居場所作りと栄養バランスのある食事の提供なので、昨年は食育を軸にゲームや紙芝居をいくつか企画して開催しました。あと、学生が作成した栄養バランスのとれたレシピが親御さんから好評で、レシピをお渡しする機会もありました。今後は、子どもだけでなく、留学生や独居のおじい様おばあ様も気軽にこれるような取り組みをしていきたい。いろんな人たちが集まれる場になるといいなと思っています。運営資金の援助をいただいた全国栄養士施設協会や、食材料の支援をいただいたフードバンク福岡にはとても感謝をしています。

また、SDGsという意味でも、貧困家庭の子どもへの食事提供や、子どもたちへの栄養バランスの取れた食事の提供、栄養状態の改善や安全な食事の提供により、健康的な生活習慣に繋げるなどテーマに関連づいているので、関心をもつ学生も増えています。

食を学ぶことは、ずっと役立つ財産になる。

入学を検討されている高校生に伝えたいことは、「食は人間の根幹」ということです。この学問は、本人の健康、家族の健康、そして社会全体の健康づくりに繋がります。なにより、人の体のことを知ることの面白さをぜひ知ってほしいです。あとは、「人間関係を大切に、友人をつくってほしい」と思いますね。

勉強というのは極端に言えば、本を読めばできるものです。一方で、学校で出会った人との繋がりは、学校に来るからこそ生まれる財産です。卒業後、学校で生まれた繋がりから就職が決まる人も多くいます。ぜひ入学される方は、そうした関係性をもって卒業してほしいですね。

栄養士の仕事は食を通じて人をより健康に幸せにすることです。その役割を果たすことで健康寿命の延伸や社会保障費の削減、さらに食環境の整備など社会貢献できます。素敵な仕事だと思いますよ。

食物栄養学科 宮﨑先生
長崎県出身。香蘭を卒業後、同校の寮で栄養士になる。その後助手をしながら研究を続け、博士の学位を取得し、今に至る。香蘭歴45年。趣味は勉強も兼ねてスポーツジムではじめた筋トレ。
担当科目:「公衆栄養学」「栄養指導論」

「社会で求められている」栄養士という仕事、そしてSDGsの取り組み【Vol.2】