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栄養士養成施設での学び
栄養士免許を取得するためには、厚生労働省が指定する栄養士養成施設での学校教育を修了する必要があります。
学校での専門的なカリキュラムや実習を通じて栄養学、食品学、衛生学、栄養指導法、調理学などの知識や必要な技術を習得します。
栄養学では基礎から応用まで、ライフステージに応じた食の提案ができるように学びます。
食品学では、食品に含まれている成分について幅広く理解し、調理や加工においてどのように変化するのかを学びます。
衛生学では、公衆衛生では疾病の予防、健康増進の技術と科学をまた食品衛生では食中毒、有害化学物質など飲食に関わる危害を未然に防止することについて学びます
栄養指導では、食指導に関する一連の内容を学びます。指導の方法や媒体作成、コミュニケーションの取り方などについてです
調理学では、基礎から応用、実用的な調理、また大量調理の技術と知識を実践的な視点で学びます。
養成施設での学びは充実した設備の中で勉強できることや、教員は有資格者でなければならないという基準があるため、体験談や、現場での心得など、栄養士の魅力を直接聞くことができるメリットがあります。
フードコーディネーター、栄養士に期待されることとは。
【フードコーディネーター】
■ クリエイティブな食事プランニング:バラエティ豊かで魅力的な食事プランを作成する役割を担っています。期待されるのは、季節の食材や地域の特産品を活用した創造的なメニューの提案です。さまざまな料理スタイルや食事制限(ベジタリアン、グルテンフリー、アレルギー対応など)に対応できる柔軟性も求められます。
■ 持続可能性と食品ロスの削減: 環境への配慮が重要視される現代社会において、フードコーディネーターは持続可能性に焦点を当てた取り組みをすることが期待されます。食品ロスの削減や食材の効果的な活用、地元農産物のサポートなど、持続可能な食品システムの構築に貢献する役割を果たすことが重要です。
■ 健康トレンドや食品知識の追求: 健康トレンドや最新の食品知識を収集し食に反映させることができます。新たな食材の開拓、料理法の紹介などによって、食事プランの品質を向上させることにより顧客や利用者に対して最新の食情報の提供やよりよいアドバイスをおこなうことが期待されています。
【栄養士】
■ 健康状態の評価:栄養士は個々の人の健康状態を評価し、栄養状態やリスク要因を判断する能力が求められます。身体的な評価や食事の記録を分析し、必要な栄養素の摂取量や不足している栄養素を特定することが重要です。多様化する社会情勢を反映し、お惣菜や冷凍食品を活用し実践できる内容でアドバイスすることができます。
■ 個別の栄養プランの作成:栄養士は個々の人のニーズや目標に基づいて、適切な栄養プランを作成することが期待されます。これには、バランスの取れた食事計画や特定の栄養素の摂取目標、食品アレルギーや制限食などの考慮が含まれます。
■ 地域の健康の維持増進を図る:栄養士は地域活動においても、健康啓発活動に積極的に参加し、栄養教育や栄養に関する正しい情報の普及に努めることが期待されます。健康イベントやセミナーでの講演やワークショップの開催、栄養に関するパンフレットや情報資料の作成などが地域の方々の生活スタイルに合わせたかたちで提案することができます
■ 学校や保育園での食育活動: 成長期の子供たちの食を支える役割があります。学校や保育園での食育活動や給食の管理に関わることで児童や生徒に対して栄養教育を行い、健康的な食事習慣を身につけるための支援や食品安全管理を行います。特に学校給食は「生きた教材」と言われておりその土地で伝承されている食文化や、食べ物への感謝、食品の生産、流通、消費などについて給食を味わいながら学ぶことができるからです。
■ 養成施設や研究機関による産学官の連携: 健康団体や福祉施設、地域センターなどと連携し、栄養相談や栄養サポートを提供することがあります。高齢者や特定のグループに対して栄養ケアプログラムを実施したり、食品開発をおこなったりまたは、地域の子どもたちを対象とした子ども食堂を運営したりと大学や研究機関等が持つ研究資材、技術やノウハウを民間企業や公的機関と連携し、実用化や産業化へと結びつけることもあります。
総合的に言えば、フードコーディネーターは食品業界での幅広い役割を果たし、メニューの開発やイベントの計画、食材の調達などに携わり、栄養士は特定多数の方に継続的に給食を作り、成長を支えたり、健康を維持したりと、個々、人々や特定のグループの栄養ニーズに合わせた食事計画を多角的に提供します。
まとめ
フードコーディネーターと栄養士は食に関する資格を生かした職業という点では同じだと言えます。しかしフードコーディネーターの方がクリエイティブで自由度が高く、栄養士は法規や基準の中でよりおいしく料理するという違いがあります。資格取得に関しても栄養士は養成施設で学ぶ必要があるので最短でも2年かかります。しかしその分将来性のある資格です。
栄養士の仕事で最も重要なことが調理スキルです。香蘭女子短期大学の調理実習は基礎から応用まで段階的に学びます。包丁があまりうまく使えなかった人でも学んでいくうちに本当にスキルを高めていきます。
調理の知識についても今ではあまり家庭で使うことの少なくなった調理器具や調理手法も、名前、使用用途それからお手入れまで丁寧に学びます。例えば蒸し器を使った茶碗蒸し、すし桶、木枠を使った押し寿司、あたり鉢を使った白和えなどなどです。一から作った料理は素材の味がとても豊かでひとくち食べると思わず「おいしい!!」って言ってしまいます。自分で自らたてた献立、厳選した食材を使って作った料理はまた格別なものです。
人は何らかのかたちで食事をとりエネルギーに変えて身体を動かし、機能を維持させています。
多くの栄養士が抱いている思いですが食に興味を持つことで、健康的な生活が送れるだけではなく家族、友人などが元気になっていきます。おいしいものを食べると誰でも笑顔になって幸せな気持ちになるのではないでしょうか。
食に関わる仕事は自分だけではなく、周りの人、そして多くの方々の笑顔を増やす素敵な仕事です。
栄養士について少し興味を持っていただき、心身ともに健康な生活を心がけてほしいと思います。
麻生廣子
香蘭女子短期大学 准教授
管理栄養士
MBA(経営学修士)
フードコーディネーター